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とある父親の愚痴語り

裏通りにある小さな酒場。
人も疎らで顔を出す面子は決まって中年のオヤジたち。

その中でも歳格好に似つかわしくない着流しを着た白髪の男が、煙管片手に酒を傾けマスター相手に語っている。

「娘がぁよ?冒険者になりてぇっつってさ。」

「解らんでもねぇ。たしかに、ウチのカミさんだって昔ぁやってた事だぜ?…でもよぉ」

「14だぜ14!さすがに若すぎやしねぇか?だろぉ?俺ぁ泣いたね。ついこの間まで「パパー」つって俺とカミさんで手ぇつないでた愛娘がだ。「14歳はもう大人!」なんて言い出して…ついにだ。先日ギルドに名前登録しやがった。」

「確かによぉ、居たぜ?そんくらいの歳から冒険者やってちゃんと実力持ってたヤツぁよ。でもよぉ…わっかるかなぁ…境遇ってぇモンがあるだろ。やっぱりよ。」

「カミさんもよー、「怪我には気をつけてね」なんつってニコニコしてるし…俺ぁ気が気じゃあねぇ。カミさん方の血が濃かったのぁ不幸中の幸いってぇモンだが…」

「ん?おうそうよ、魔法使えるんだ。仕組みはわかんねぇけどな。しかも可愛いと来た。本気も本気よぉ。カミさんに似て超絶美少女。手ぇ出すなよ?闇討ちすんぞ。」

「あ?カミさん?あったりめぇだろ。未だにラブラブよぉ。10代も良いし、20代になってからも良かったが、30超えたらもう奇跡な。あの美人に愛想尽かされねぇ様に頑張らねぇとっつー危機感がヤバい。それくらい美人。」

「まぁ、その美人との娘ってんで…それなりに苦労して育てたんだがなぁ…この前なんか、「ヘタレ!」なんて可愛い声で罵られちまった。酒が美味くて仕方ねぇ…」

「とりあえず、しばらくはちょこちょこついてって、様子見かね。知り合いにも頼んでよ。過保護?馬鹿言ってんな、当然だろ。子は宝だぞ。いや、ウチの娘に限っては世界の宝だな。嫁に行く場面想像して泣いちまってよぉ、嫁さんにガチで宥められるっつーくらい宝。手ぇ出すなよ?寝てる顔に濡れ手拭い掛けんぞ。」

「おっと…もうそろそろいい時間だな。ごっそーさん。あぁ、帰らねーとまた娘に罵られて酒が進んじまう」

「いいぜー。マスターもさっさと良い嫁さん見つけて子供持ってみろ。辛い事もあるけどよ、やっぱり楽しいぜ。」


裏通りにある小さな酒場。
人も疎らで顔を出す面子は決まって中年のオヤジたち。

その中でも歳格好に似つかわしくない着流しを着た白髪の男は、皺の増えた顔でカッカと笑って見せ夜の街へと消えて行った。







『あの人、また煙管忘れてったよ。歳を食っても変わらんねぇ…抜けたところは。』
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No title

パパさんの語り来た!!(きらきら)

ちなみにママさんは、今だ敬語が直りませんが、パパさんと二人きりの時だけ敬語が取れるとか…。
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